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トップページ 再雇用者の最適賃金設計(2008.11)

定年再雇用による嘱託社員の最適賃金を設計する

高年齢者の雇用確保措置の基本的な考え方については継続雇用制度に関する解説をご参考にしてください。

定年退職後の再雇用による嘱託社員本人の総手取り額は、再雇用の賃金額と在職老齢年金および高年齢雇用継続給付金の3つによって左右されます。これは在職支給停止額が、賃金額ではなく標準報酬月額ベースで計算されるからです。このことにより、賃金支給額と手取り額の逆転現象を引き起こすことがあります。したがって、嘱託社員の賃金は標準報酬月額を意識して決定することが労使の利害関係上重要になってきます。

次に再雇用制度の利点ですが、勤務延長制と異なり再雇用制度の場合は、厚生年金保険等社会保険は同日得喪となるので、標準報酬月額は即座に改定されます。このことは在職支給停止額の計算上、月額変更に比べ有利に働きますが、在職支給停止額の計算にはその月以前1年間の標準賞与額も加味されるので、最適賃金設計により標準報酬月額を決定したとしてもすぐに効果は現れません。

再雇用制度の場合は、本人の希望、会社の支払い能力、労働時間や担当職務、責任の度合い等も考慮して賃金額を導きだし、シミュレーションによる最適賃金の複数候補の中から選択するといった方法が良いのではないでしょうか。それでは、事例を使って解説したいと思います。

それでは、右記の仮定でいきますと、嘱託社員として再雇用された直後の2008年10月時点では、総報酬月額相当額が27.5万円、年金月額(正しくは基本月額)が10万円でその合計額が支給停止調整開始額(2008年度現在 28万円 最新情報はこちらへ)を超えるため一部支給停止となります。さらに雇用保険から高年齢雇用継続給付として雇用継続基本給付金が支給されるため、それについても支給停止額が加算されます。

また、この時点では総報酬月額相当額に再雇用前の標準賞与額(この場合、2007年12月の50万円と2008年6月の40万円)が反映されてしまうため、支給停止額が多くなりその結果、総収入額が低くなってしまいます。2008年12月になると、当該月の標準賞与額が総報酬月額相当額に反映されることになり、支給停止額が少し減ることで、総収入額が増加します。

そして、2009年6月時点で当該月の標準賞与額と2008年12月のそれが総報酬月額相当額に反映されることになって初めて、嘱託社員としての労働条件が完全に反映されることになります。総収入額では再雇用直後と比較して、2万2,500円の増額です。嘱託社員にとっては大きな金額です。これはなんとかならないのでしょうか。この問題を解決できれば、嘱託社員の御社への帰属意識はさらに高まるのではないでしょうか。

 関連事項

  1. 高年齢雇用継続給付の支給要件
  2. 高年齢雇用継続給付金の計算方法
  3. 60歳台前半の在職老齢年金
  4. 65歳以降の在職老齢年金
  5. 60歳代前半と65歳以降の年金額
  6. 平成20年度版高齢化白書より60歳代の実情









☆仮定
昭和23年9月生まれの男性  勤続年数30年の正社員

2007年12月 標準賞与額 50万円
2008年6月  標準賞与額 40万円
2008年10月より再雇用・・・ 賃金額20万円で嘱託社員として嘱託社員雇用契約

60歳到達時等賃金月額 40万円
年金月額 10万円

2008年12月 標準賞与額 20万円
2009年6月  標準賞与額 16万円  

再雇用後の賃金シミュレーション

  総報酬月額相当額  基本月額  高年齢雇用継続給付金  在職老齢年金  総収入額 
2008年10月 20万+(90万÷12)=27.5万 10万3万 40,500 270,500 
2008年11月 20万+(90万÷12)=27.5万 10万 3万 40,500 270,500 
2008年12月 20万+(60万÷12)=25万 10万 3万 53,000 283,000 
2009年1月 20万+(60万÷12)=25万10万 3万 53,000 283,000 
2009年2月 20万+(60万÷12)=25万 10万 3万 53,000 283,000 
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2009年6月 20万+(36万÷12)=23万 10万 3万 63,000 293,000 

*総報酬月額相当額とは標準報酬月額にその月以前1年間の標準賞与額÷12を加えた額です。



最適賃金試算の例



嘱託社員雇用契約時の事務手続きと注意事項

1.60歳定年は維持し、退職金額は定年時で確定させる(就業規則で明示)

2.雇用契約書を早めに締結する

3.高年齢雇用継続給付関連の届出

4.社会保険の得喪手続き

5.再就職者を雇い入れる場合は、高年齢雇用継続給付あるいは助成金の対象者となるのか確認する


60歳台前半の在職老齢年金

前提として基本月額(加給年金額を除いた年額÷12)と総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前12ヶ月以内に
支給された標準賞与額÷12)の合計額をAとします。

1.Aが支給停止調整開始額(2008年12月現在 28万円 最新情報はこちらへ)以下の場合

在職支給停止はありません。

2.Aが支給停止調整開始額を超える場合

(1)総報酬月額相当額が支給停止調整変更額(2008年12月現在 48万円)以下で、基本月額が支給停止調整開始額以下の時

支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−支給停止調整開始額)×1/2
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

(2)総報酬月額相当額が支給停止調整変更額(2008年12月現在 48万円 最新情報はこちらへ)以下で、基本月額が支給停止調整開始額を超える時

支給停止額=総報酬月額相当額×1/2
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

(3)総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超え、基本月額が支給停止調整開始額以下の時

支給停止額=(支給停止調整変更額 + 基本月額 - 支給停止調整開始額)×1/2 + (総報酬月額相当額 - 支給停止調整変更額)
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

(4)総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超え、基本月額が支給停止調整開始額を超える時

支給停止額=支給停止調整変更額×1/2 + (総報酬月額相当額 - 支給停止調整変更額)
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

3.全額支給停止された場合は加給年金も支給停止されます。

4.高年齢雇用継続給付金が支給される場合

(1)標準報酬月額が支給限度額(平成20年8月〜21年7月は337,343円 最新情報はこちらへ)以上の場合

支給停止はありません。

(2)支給対象月の標準報酬月額が60歳到達時賃金月額の61%未満の場合

標準報酬月額の6%が支給停止されます。

(3)支給対象月の標準報酬月額が60歳到達時賃金月額の61%以上75%未満の場合

下記の計算額が支給停止されます。ここで低下率とは支給対象月の標準報酬月額÷60到達時賃金月額のことです。
支給停止率 = ((-183 × 低下率 + 13725) / 280) ×100 / 低下率 * 0.4
高年齢雇用継続給付による支給停止額=標準報酬月額×(支給停止率 / 100)

(4)(2),(3)に係らず、以下の計算により支給停止額が変わる場合

(2)または(3)で計算した停止額×15 / 6 + 標準報酬月額が支給限度額(平成20年8月〜21年7月は337,343円 最新情報はこちらへ)
を超える場合

高年齢雇用継続給付による支給停止額=(支給限度額 - 標準報酬月額)×6 / 15


65歳以降の在職老齢年金

1.65歳以上70歳未満の在職者の場合

平成14年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を取得した人は対象外です。

支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−支給停止開始額)×1/2
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

*支給停止開始額は2008年12月現在、 48万円です。最新情報はこちらへ
*基本月額は報酬比例部分です。経過的加算額は全額支給停止でも全額支給されます。
*加給年金は全額支給停止のあいだは支給されません。


2.70歳以上の在職者(被保険者資格は喪失)の場合

平成19年4月1日にすでに70歳以上の人は対象外です。

支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−支給停止開始額)×1/2
在職老齢年金=基本月額−支給停止額

*支給停止開始額は2008年12月現在、 48万円です。
*基本月額は報酬比例部分です。経過的加算額は全額支給停止でも全額支給されます。
*加給年金は全額支給停止のあいだは支給されません。
*厚生年金の被保険者資格は喪失するため、厚生年金保険70歳以上被用者該当届を
提出する必要があります。

嘱託社員の定義

就業規則では、本則の従業員の定義で正社員と区別するために、再雇用者は嘱託社員として
定義してください。定義は嘱託社員が定年退職後、本人の希望等により有期労働契約により
再雇用されたものであることを明記します。そして嘱託社員 就業規則を別規定として作成
し、その中で嘱託社員のみに係る事項を明記します。

 
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