近年の連続する外部環境の悪化を受け、企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。こういった状況を打開していく力の源泉は社員と組織であり、企業が成長していくうえで、必要不可欠なものです。そこで、人事で競争優位を確立し、競合に打ち勝ち、顧客の創造と機会の創出を継続的に追求していく社員と組織の成長を後押しできるしくみが求められております。
当事務所では、人事制度における競争優位を確立するために、職業能力評価基準のフレームワークを活用して、評価制度、人事・賃金処遇制度、能力開発体系を構築することをご提案しております。職業能力評価基準をベースとする主な理由は3つあります。
1つ目は、職業能力評価基準は仕事ベースで評価基準・評価項目が策定されており、その評価基準・評価項目に必要な知識・経験、資格が関連付けられて策定されていることです。本来、評価は仕事ベースでなされるべきであり、仕事に必要な能力開発は仕事から見い出すべきだからです。
2つ目は、職業能力評価基準は業種別・職種別に体系化されており、また、4つの役割レベルごと取りまとめられている点です。これにより、社員は自分の将来のキャリアを意識することができ、会社もキャリア開発に容易に取り組むことができます。
3つ目は、制度構築の生産性です。職業能力評価基準はすべての業種をカバーしておりませんが、営業、総務、経理、人事、生産管理といった職種はそろっております。したがって、それらをカスタマイズしていけば良いのですから、生産性を高めることができます。
したがって、当事務所は職業能力評価基準を活用した人事制度の構築をご支援していきたいと考えております。「成長を実感できる仕組みを構築したい」とお考えのお客様は、当事務所にご相談ください。全力でご支援いたします。
職業能力評価基準を会社用にカスタマイズすることで、評価項目として活用することができるようになります。各評価項目(職務遂行基準)は標準(コピーしたもの)、準標準(コピーしたものを訂正)、独自(御社オリジナル)の3つに分けることができます。標準を業界標準とみなし、無理のない程度で準標準と独自をプラスしていくことで、評価制度自体の競争優位性を構築することができます。
会社用に職業能力評価基準をカスタマイズできたら、従業員ごとに職種と担当職務を割り当て、担当すべき能力ユニット(課業)を役割に応じて割り当てます。これにより、評価項目としての職務遂行基準が決まります。職務遂行基準は、「〜している」といった成果につながる職務行動を意識した具体的内容で役割レベルごとに表現されています。したがって、これをそのまま評価項目とすることが最も簡単でわかりやすいことになります。
下記の図は「射出成形」能力ユニットのうちの「成形」能力細目の職務遂行基準です。役割レベルごとに異なっております。この1つ1つの職務遂行基準が従業員の評価項目になり、これを公開することで、従業員が具体的にどのような行動をとるべきかを知ることができます。評価者にとっても具体的な表現なので評価しやすくなります。評価項目が多くて少し大変さを感じるかもしれませんが、あいまいな評価要素で考え込むよりは、かえって合理的であり、効果的ではないでしょうか。
人事評価の採点方法について具体的な事例を使って解説していきます。Aさんは「製造」職の役割レベル2の従業員です。今期は「成形」職務を担当してもらいます。職種には「共通」能力ユニットがあるので、評価の割合を決めておく必要があります。図2では「成形」を70%に、「共通」を30%としています。当該職務を構成する能力ユニットの中からAさんには「金型準備」,「射出成形」を担当してもらいます。このとき、どうのように評価して数値化すれば評価の納得性が高まるのでしょうか。
人事評価の採点(数値化)方法には、いくつかありますが、まずは表1のように能力ユニット単位で数値化する方法について考えてみます。能力ユニット単位で評価するとしても、職務遂行基準を踏まえたうえで評価することになります。しかし、数値化するのは能力ユニット単位になります。
表1の例では「金型準備」がA評価で「射出成形」がB評価、そして「成形」職務としてはB評価とされています。なぜ、B評価なのでしょうか。これではあいまいさが残ってしまい、評価の納得性は得にくくなります。 同様に職務評価では「成形」がBで「共通」がC、そして総合評価がBとされていますが、この場合はラッキーと感じるかもしれません。Cなら不満に思うでしょう。評価結果のフィードバック時に明快に説明できればいいのですが、それでも根拠を示さなければ従業員は納得してくれません。
そこで、今度は職務遂行基準の1つ1つを評価して積み上げていき職務評価を算定する方法を考えてみます。まず各職務遂行基準にウエイトをつけます。これは職務遂行基準によっては達成が容易なものもあれば、困難なものもあるからです。各職務遂行基準の評価点数(1から5とします。)にウエイトを乗じて得た点数を当該職務遂行基準の評価点数とします。すべての職務遂行基準の点数を合計し、表2のように職務ごとの合計点数(表2で「成形」の場合は279)を算出します。同時に最高得点数(表2で「成形」の場合は435点が満点)も算出します。「成形」と「共通」の得点率に評価の割合の70%と30%をそれぞれに乗ずれば100点満点中の評価点数が算出できます。表2では63.1点が当該従業員の評価点となります。この方法であれば、より評価内容が明確になり、納得性は高まるのではないでしょうか。
職業能力評価基準は職種と役割レベルごとに定義されているので、これを活用するのであれば職種別賃金制度と役割等級制度ということになります。しかしながら、職種別賃金制度では、柔軟な配置転換が行いにくく、人員配置の最適化と新卒者の育成計画という観点からするとマイナス要因です。役割等級制度については、役割ごとに格付けを行い、それに応じて処遇することができるため合理的です。そこで、次のようなしくみを考えてみます。
まずAですが、職業能力評価基準のレベル区分は4つなので単純に表3のように役割等級に対応させます。役割等級により、職位と賃金が決定するいたってシンプルな制度です。ただし、職務遂行基準はレベルごとに定義されているので、2つの等級で重複して利用することになるのでくふうが必要になります。
次にBとCですが、評価の結果によって賃金の差は各人つきますが、原則4等級の一定の職位(当システムではグレードと号)までは、例外はありますが原則必ず昇給するようにします。昇格判定は今期以前3年間の評価結果により決定することにします。賃金水準は職種間で差をつけません。これは、役割レベル1と2の段階は、従業員の育成期間と捉え、本人の意思を尊重したジョブローテーションを行いながら、ゼネラリストとしても、スペシャリストとしてキャリア・デザインを描けるようにするためです。
最後のDとEですが、職業能力評価基準のレベル3がマネジャーもしくはスペシャリストの水準にあるので、5等級に昇格したときはそれなりの処遇をする必要があります。そして、5等級から職種ごとに賃金テーブルをもつこととします。もう1つ4等級以下の従業員に対する処遇と大きく異なる点は成果を求める比重を高めることです。そこで、成果給を定義する必要がでてきます。当事務所が考案した成果給は、図3のように評価点数が標準点(60点)なら3万円,下限点(40点)は1万円,上限点(85点)は5万円というように定義しておき、評価点数とこれら3つの関係により毎期変動するしくみにします。これにより評価結果をダイナミックに賃金に反映させることができます。
職業能力評価基準を活用した評価制度と目標管理制度を併用することは可能です。この場合、図3のように目標管理を「職務」と同列に扱うことで実現できます。目標管理制度における目標の達成度をどの程度重視するかは、評価の割合を調整することで決まります。表1は「製造」職「成形」職務担当者の例ですが、目標管理制度の評価結果の割合を20%としています。また、目標管理を業績評価に読み替えれば、業績評価との併用も可能になります。
当事務所が作成した人事評価システム FSR人事をご紹介いたします。FSR人事は職業能力評価基準のフレームワークを利用した評価制度となっております。人事制度におけるFSR人事がカバーする範囲は、評価制度のほか、右図のうち、等級制度と賃金制度および総額人件費管理となります。FSR人事の機能は次のとおりです。
FSR人事における評価の仕方は、従業員ごとにExcel評価シートを出力し、そのシートを使って実施していきます。したがって、ネットワークを介する必要はなく、評価結果は簡単にDBに取り込むことができます。 サンプル版をご用意いたしましたので、職業能力評価基準を活用した人事制度の構築に共感いただけたお客様はどうぞダウンロードしてお試しください。
従業員の評価結果は能力ユニット(右図参照)単位でレーダーチャートにより分析することができます。したがって従業員ごとの弱点が明確になり、強化ポイントを絞った個別能力開発プランの策定が容易になります。
新評価制度・賃金制度の導入により管理コストが低減されるので、人材育成・能力開発施策に取り組む時間を十分に確保することができます。
賃金表は職種別、雇用形態別、等級別に定義できますが、職業能力評価基準では「営業」という職種の中に「営業」職務があり、「営業」職務は「営業実務」と「営業事務」といった能力ユニットを含んでいます。このうち「営業事務」を専門に行っている従業員の方は別途職種を定義して(例えば「営業事務」職)賃金表を作成することができます。
年度の途中で職種を変更する必要が生じた場合は、対象となる従業員に新たに職種を割り当てることで、前職種の評価と新職種の評価により賃金額算定することもできます。例えば前職種を30%、新職種を70%の割合で評価します。また、前職種の職務遂行期間が短い場合には、新職種のみで評価することも考えられます。こういったことは人事評価規定で整理しておきます。
1つの方法は昇級及び降級に必要な点数に差をつけることで対応できます。例えば、3等級から4等級に上がるためには75点以上を必要とし、4等級から5等級に上がるためには85点以上を必要とするように定義します。
もう1つの方法は、同じレベル2であっても4等級に限定した評価項目(職務遂行基準)を定義することができるので、5等級の特定の職務遂行基準を4等級に限定して追加することで差別化することができます。特に5等級は管理職・専門職としての役割が必要になるので、その素養を判断する基準を設けておくことも必要かもしれません。
職業能力評価基準(厚労省・中央職業能力開発協会)とは、主として企業が自社の評価基準策定の参考にできるよう、業種ごとに策定したものです。策定するにあたっては、複数企業に対するヒヤリング調査を実施して職務分析・課業分析を行っているので、業界が求める人材ニーズ等を踏まえた内容となっています。
職業能力評価基準の体系は右図のとおり「職種」→「職務」→「能力ユニット」といった単位で細分化されています。能力ユニットとは、仕事を効果的・効率的に遂行するために必要な職業能力を課業単位で括ったものです。能力ユニットは役割レベルごとに「能力細目」 → 「職務遂行基準」 で構成されています。最下層の職務遂行基準は、職種別・職務別に仕事を効果的・効率的に遂行するために必要な職業能力に加え、成果につながる典型的な「職務行動例」としてまとめられています。
図2は、中央職業能力開発協会がプラスチック製造業における「製造」職の職業能力評価基準を定義したものです。「製造」職は「製造管理」,「成形]、[二次加工」の3つの職務で構成されています。「共通」とあるのは「製造」職のすべての職務に共通で必要な能力ユニット等を定義したものです。
能力ユニットは「能力細目」と「必要な知識」で構成されていますが、能力細目とは、能力ユニットを仕事のサイクルであるPDSにそって細分化したものです。例えば、「成形」職務の「射出成形」能力ユニットは、「成形の準備」,「成形」,「成形の完了」,「成形品の検査」という能力細目で構成されています。各能力細目は、より具体的な複数の職務遂行基準という行動基準に細分化されています。
職務遂行基準は、評価の見極めとなる職務行動例で、求める能力を単なる保有能力ではなく、成果に繋がる発揮能力として捉えることが可能です。その基準には典型的な行動特性だけでなく、コンピテンシー評価項目も盛り込まれていることが大きな特長です。職務遂行基準と必要な知識は能力開発及び人材育成計画策定に利用することができます。また、採用の際の判断基準や人材配置の適正化における参考資料として活用することも期待できます。